11月公開の映画『恐怖人形』で、映画初出演及び初主演を果たした日向坂46の二期生・小坂菜緒。3月発売の1stシングル「キュン」リリースから、駆け足で飛躍し続けるグループの活動と並行した撮影では「メンバーが周りにいない不安もありました」と本音を明かす。グループのメンバーとして、一人の女優として何を思うのか。単独インタビューにより、話を聞いた。

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女子大生役は同期メンバーの宮田愛萌を参考に

 撮影に入る前は「初主演への不安で胸がいっぱいでした」という小坂。本作では、実際の年齢である17歳よりも少し年上の女子大生役となったが、演じるにあたり「メンバーの宮田愛萌を参考にしていました」と明かす。

 「私はまだ高校生なので、女子大生役を演じるからには『もう少し落ち着きが必要なのかな』と思っていたんです。そこで参考にしたのが、同期で実際に大学へ通っている宮田でした。普段から大人の立ち振る舞いをしていると感じていたので、撮影中は何となく彼女を思い浮かべていました」。

 単身で臨んだ撮影の合間には「共演者の方々と『人狼ゲーム』で遊んでいました」と回想。現場の空気にもなじんでいった一方で「1週間もグループを離れる経験がなかったので、寂しさもありました」と話す。

 「ホームシックのような気持ちもありました。メンバーとは家族よりも濃い時間を過ごしているから、やっぱりそばにいない不安もあったんですよね。そんな気持ちを察してくれたのか、メンバーも撮影中に連絡をくれたんです。同期の渡邉美穂が写真付きで『撮影頑張ってる?』とか『今、こんなことをしてるよ』といったメッセージを送ってくれたり、みんなからの報告も密かな楽しみで励まされていました」。

■加入前は「“しゃべりかけるなオーラ”がすごい」と言われて

 過去にはグループとして、舞台『あゆみ』や『ザンビ』も経験。当時の記憶も頼りに演技の世界で成長を見せた小坂だが、一方で、メンバーとして今何を思うのか。日向坂46の前身、けやき坂46のお披露目から約2年。自身の成長を実感しているのは「人とのコミュニケーションの取り方」だという。

 「加入当初は人前に出るのも、誰かと話すのも得意ではなかったんです。メンバーから話しかけられても一問一答みたいに終わってしまったり、中学時代はバレー部に所属していたものの、団体競技なのに端っこで一人ポツンといることも多かったんですよ。それこそ同級生から『しゃべりかけるなオーラすごいよ』と言われるほどでした(笑)。

メンバーと打ち解けられるきっかけを作ってくれたのは、宮田でした。握手会の遠征でたまたま宿泊場所が同じ部屋になり、会話しているうちに『一人が好きだと勘違いされてるかもしれないから、みんなで一緒に話してみない?』と提案してくれて。そこから同期とも話すようになり、ようやく心から壁を壊せたと思えたのは『けやき坂46「走り出す瞬間」ツアー2018(以下、走り出す瞬間ツアー)』の終わり頃だったので、けっこう時間がかかりました(笑)」。

 一方で、一期生から歩み寄ってくれたのは二期生よりも早い時期。小坂らが正式にお披露目されるよりも前で、けやき坂46の一期生や長濱ねる、渡邉が出演したドラマ『Re:Mind』の撮影現場だったと明かす。

 「当時はまだ追加メンバーとしての加入が決定しているのみで、一期生の皆さんとお会いしていたけど自分から話しかける勇気が出なかったんです。でも、撮影現場へ見学しに行ったときにキャプテンの佐々木久美さんや影山優佳さん(現在は活動休止中)が、積極的に話しかけてくださって。『実は、みんなで“こさかな”と呼んでるんだよ』とおっしゃってくれたり、二期生の印象も伝えてくれたりして、はじめはそれこそ『こんな私に話しかけてくれるなんて』という気持ちもありましたがすごくうれしかったですね」。

■ファンからは「太陽のように明るい雰囲気がある」と評価

 メンバーと打ち解けられるようになり、今では「家族よりも一番近い存在」と印象を伝えた小坂。グループの空気感もある時期を境にして変わったというが、転機となったのは単身で加入した三期生・上村ひなのがお披露目された「ひらがなクリスマス2018」だった。

 「加入後もしばらくは『一期生の皆さんのライブに参加させていただいている』という気持ちがあったんです。ようやく主体的に取り組めるようになったのは『走り出す瞬間ツアー』からでしたが、それでも当時は、ツアー自体が初めての経験だったので目の前のことをこなすのに精一杯でした。

そこからようやく『ひらがなクリスマス2018』で少し余裕も生まれたのか、メンバー全員でライブを作っている実感が芽生えてくるようになって。ひなのが加入したことで一期生や二期生の距離感もグッと近づき、振り返ると自分たちの転換期だったのかもしれません」。

 そして、グループは2月11日にけやき坂46から日向坂46へ改名。一方で、坂道グループとしては乃木坂46欅坂46に続く“三女”となったが、改名までは「欅坂46の妹分グループ」や「欅坂46アンダー」という評判もある中で「自分たちの立ち位置に迷う気持ちもありました」と明かす。

 「改名を経てようやく、みんなが『多くの人に知ってもらう』という目標に向けて一致団結した気もします。乃木坂46さんには清楚さ、欅坂46さんにはクールさというイメージがある中で、自分たちの持ち味は“元気や明るさ”だと思っていて、実際に握手会でもファンの皆さんから『太陽のように明るい雰囲気があるよね』と言われるんです。

でも、特別にメンバー同士で『こうしていこう』と話し合ったわけではなくて。元々、楽屋でも笑い声が絶えなくて、そんな空気が自然とあったんですよね。ひらがな時代から歌い続けている『ハッピーオーラ』はそれこそ、私たちらしさが一番伝わるのかなと思っています」。

■センターは「逃げ出したくても逃げられない」

 自分たちらしさを一番出せるのはライブだと話す小坂。デビューシングルからわずか半年、9月には3rdシングル「こんなに好きになっちゃってもいいの?」リリースを記念したさいたまスーパーアリーナ(以下、SSA)のライブで2万人の観客を動員したが、これまでの活動で最も印象に残ったという。

 「3月にも横浜アリーナで『デビューカウントダウンライブ』を経験しましたが、けやき坂46としての最後と、日向坂46としての始まりが重なるライブだったので、どっちの気持ちも行き来していたんですよね。だから、ようやくSSAで自分たちのワンマンライブを達成したという手応えもあったし、ダンスで見せるコンセプトがあった一方で、トロッコに乗りお客さんへ近づきながら全編を通して『笑顔を見せよう』という自分たちの個性もたくさん出せた気がしました」。

 SSAで初披露となった「こんなに好きになっちゃってもいいの?」では曲中、ステージ上で小坂がフィーチャーされる場面もあった。デビュー以来、立ち続けるセンターのポジションには何を思うのか。「楽しさよりも、怖さや不安の方が正直大きい」と本音を打ち明ける。

 「気持ちとしては、プレッシャーを感じる機会も多いです。ただ、逃げ出したくても逃げられないし、任せていただいたからには全力でぶつかるしかないと思っていますね。たぶんそれは、根がすごく負けず嫌いだからで、弱々しい部分を皆さんに見せたくないんです。ステージから離れると反省することも多々あるんですけど、堂々とした自分を見せたいし、自分の中で抱える不安を、本番では勇気や楽しさに変えようと思いながら臨んでいます」。

 芯の強さをにじませた小坂は、グループを離れる仕事であっても「ほかの場所で学んだことを、日向坂46に還元していきたいです」と思いを巡らせる。けやき坂46からの歴史はありつつ、現在の形となってからはまだ1年目。グループに光をもたらす一人として、よりいっそうの活躍が期待される。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:高野広美)

■映画『恐怖人形』
 徐々に巨大化していく日本人形に、キャンプ場に集められた若者たちが追い詰められていくさまを描いたサスペンス作品。メガホンを取ったのは、映画『gift』で長編デビューを果たした新進気鋭の若手監督・宮岡太郎。主人公の女子大生・平井由梨役を小坂、互いにカメラを趣味に持つ幼なじみ・中川真人役を萩原利久が演じている。

 映画『恐怖人形』は11月15日より全国公開。

日向坂46・小坂菜緒  クランクイン!